初めて記念アルバムの撮影をした話
今から40年以上まえ、
幼稚園卒園を間近に、卒園アルバム用の個人撮影があった
初めてのアルバム撮影
どんな顔をしたら良いのかまったくわからない
しかも、ほかの子たちの撮影状況もよく見えない
撮影に呼ばれるまで、一人葛藤が始まる
笑顔? まじめ顔? すまし顔?
歯を見せた笑顔? 口を引き締めてまじめ顔? クールをよそおったすまし顔?
結局、こたえは出ないまま撮影の順番がきた
そしてどんな顔を意識したのかも記憶がない
卒園時、できあがったアルバムの自分を見ても
何をしたかったのか理解できない顔で写っている
薄目をあけ、口元をきつく結び、口角を下げて
まるで泣くのを懸命にこらえているような表情
そこにいたのは
初めてのアルバム撮影に困惑し、
疲れ果てた幼稚園児がひとり
ほかの園児たちは当然、幼稚園児らしい
かわいい笑顔で写っていましたとさ